0歳、1歳、2歳、3歳の子について、審判で認められる面会交流の頻度や時間、方法について

家事事件

0歳、1歳、2歳、3歳の子は、生活自立ができている子はほぼおらず、生活全般にわたって、大人の世話が必要になります。

したがって、このような年齢の子の面会交流の可否や内容を考えるに当たっては、特別な考慮が必要になります。

もふもふ
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0歳〜3歳の子の面会交流の頻度や時間、方法について、家庭裁判所の視点から解説します。

本記事の参考文献等

面会交流事件で裁判官が良く参照する文献や参考書については、こちらの記事も参考にしてください。

  • 松本哲泓『面会交流-裁判官の視点にみるその在り方-』(新日本法規、2022年)
  • 横田昌紀ほか「面会交流審判例の実証的研究」判タ1292号8頁以下
  • 武藤裕一ほか『離婚事件における家庭裁判所の判断基準と弁護士の留意点』(新日本法規、2022年)

0歳、1歳、2歳、3歳の子について、どのような調査官調査が行われるのか?

0歳は発語がなく、1〜3歳の子も、発語があったとしても、2、3語文であったりし、少なくとも大人と同じように会話をすることができないのが一般的です。

したがって、「子の心情調査」は実施しないのが一般的です。

他方、どの年齢の子でもそうですが、特にこの年齢では、子の監護状況や発達状況を確認した上で、子にどのような配慮が必要なのかを把握する必要があります。

場合によっては、診断は付いていないものの、ADHDや自閉症の疑いがあり、多動傾向やこだわり等があるため、そのような場合には、「子の安全」の観点からの検討が必要になります(非監護親は、面会交流場面で、適切に子に対応できるのか?同居中は育児に関与していたか?)。

そこで、「子の監護状況調査」「関係機関調査」を実施することが多いです。

子の監護状況調査においては、家庭裁判所調査官が、監護親の家庭訪問を実施します。監護補助者(祖父母等)がいる場合には、同席してもらうこともあります。

さらに、非監護親と子との交流の様子を具体的に観察するために、「交流場面観察」を実施することがあります。

関係機関調査や交流場面観察で具体的にどういったことをやるの?といった点については、4〜6歳の子の面会交流の記事で解説したとおりですので、ご参照ください。

0歳、1歳、2歳、3歳の子について、意向や心情はどの程度審判で重視されるのか?

このような年齢の子は、低年齢であるほど、発語がなかったり、発語があるとしても2、3語文であり、大人と同じような会話をすることはありません。

また、発達状況や判断能力を踏まえても、その発言を額面通りに受け止めることができないのは、子育てに関与したことがある方であれば想像できると思います。

したがって、例えば、上記で紹介した子の監護状況調査等の中で、子が面会交流や監護親について何らかの発言をしたとしても、裁判官が、その発言から直ちに面会交流の内容や頻度を決めることはありません。

0歳、1歳、2歳、3歳の子について、面会交流の頻度や時間、方法を決める考慮要素は?

面会交流において、絶対の基準があるわけではありませんが、次のような点を考慮しています。

まず第一に指摘できるのは、このような年齢の子の面会交流を実現するためには、その年齢や発達状況に照らし、基本的には、監護親あるいは子が安心できる監護補助者(祖父母等)の協力が必要不可欠であるということです。

このような年齢の子は、困ったことがあったとしてもそれを言葉で周囲に上手く伝えられないことも多く、また、面会交流場所に1人で移動することもできません。

したがって、「受渡し」の場面でも、「付添い」の場面でも、監護親あるいは監護補助者の協力を求める必要があります。

裁判官としては、まずはこのような協力関係が構築できるか?という視点で検討します。

監護親と非監護親が高葛藤であり、監護親において、非監護親と面会することが困難な場合には、なかなか協力を求めることは難しいでしょう。

高葛藤なら直接交流はできないの?

もふもふ
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必ずしもそうではありません!

例えば、非監護親が、同居中、監護親とほぼ同程度の家事育児を担っており、子と十分な愛着関係が形成されており、面会交流中の子の安全が確保できる場合には、高葛藤であっても、直接交流に向けて検討を進めることが多いでしょう。

「受渡し」や「付添い」の場面で、第三者機関の関与を検討することもあります。

宿泊を伴う面会交流は認められるか?

別居後も、当事者間において、任意に宿泊を伴う面会交流が実施されており、その状況に問題がないような場合には、審判でも、これを認める方向で検討することが多いでしょう。

もっとも、このような場合には、そもそも当事者間である程度の信頼関係が維持されているパターンが多いので、そもそも、争点にならないことが多いです。

問題となるのは、別居後、面会交流が実施されていなかったり、実施されているとしても、頻度が少なく、短時間の場合であったりするような場合です。

①非監護親の自宅が従前の子の住居であり、子がその生活場所に慣れ親しんでおり、かつ、②非監護親による同居中の監護の程度が相当高い場合でない限り、裁判官としては、子の利益の観点から相当ではないとして、審判では認めないことが多いでしょう。

このような場合には、子の成長を待つとともに、充実した内容の面会交流を繰り返してもらい、実績を重ねてもらう必要があります。

さいごに

以上のとおり、0〜3歳の子は、その年齢や発達状況に鑑み、「子の安全」の観点からの検討が特に必要となります。

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